いちごキャンディー
知らない仲じゃないし、勝手に上がるのなんて日常茶飯事だ。そしていつもの様にうちでまったりし始めた空澄に母さんが言った。


「空澄ちゃん、出来るだけ早く帰ってきてね!?」


俺は“空澄にまで言ってるよ”と思ったけど、空澄は元気よく返事をしていた


「もちろんっ!!」


10分程うちでまったりしていたが約束の時間が迫ってきたので出かけることにした。

待ち合わせ場所に向かいながら空澄が少し心配そうに言った。


「私、青田さんとほとんど話したことない‥‥」

『大丈夫だって。』


自分は苦手なくせに何を根拠にそんなこと言ってるんだか‥‥と、自分自身でつっこみを入れたくなる。


「でもー…。」


さっきから笑顔の消えた空澄の顔。緊張しているのが見て取れる。


『ストップ!!』


俺の言葉に歩みを止める空澄。不思議そうに俺を見つめている。


『緊張が解ける方法知ってる?』


俺の問いに空澄は少し考えてから急に閃いたように


「人、人、人って書いて食べる」


と、動作付きで説明して答えてくれた。
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