いちごキャンディー
ツリーまでの道のりも、2人してキョロキョロしながら歩いたけど、空澄と隆平を見つけることは出来なかった。


『着いたな…』

「いないね…」


俺たちの目の前には、巨大なクリスマスツリーがそびえ立っている。きらきら光る装飾がまぶしい。


「あーあ‥‥」


ツリーを見上げながら青田がため息を付いた。


「ごめんね、日高君。」

『は?』


俺には青田が謝っている意味が理解できなかった。


「折角のイブなのに巻き込んじゃってぇ…」


青田はゆっくり話し出した。


「私が隆平と2人で来てればこんな事にならなかったのにね…」

『別に青田が悪い訳じゃないよ。』


俺も空澄も楽しんでいたし、本気でそう思ったからそう言ったんだけど、青田が発した次の言葉に驚いた。


「私ね、隆平のこと好きなんだよねぇ‥‥」

『好きぃっ?!』


そんな感情はないんだと思っていたので本当にビックリした。


「ふふっ。…ビックリしたぁ?」

『嘘なの?』

「本当だよ。」


青田は、はにかんで微笑んだ。今まで見たことのない表情だった。


「自意識過剰って思われるかもしれないけど、隆平は私のこと好きなの。それもずぅっと‥‥」


自意識過剰?とんでもない!当たってますよ。
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