いちごキャンディー
『空澄?』


何かを考えている様で、急に黙り込んだ空澄。声をかけると目を丸くして驚いていた。


「あ、ごめん(笑)昨日のこと思い出してた!!」

『で?!なに言われたんだよ?』


そう言った俺に空澄は意地悪な顔して笑った。


「内緒ーっ(笑)!!」

「えっ!?何だよそれ!教えろよ!」

「ヤダ〜(笑)」


―しばらく歩いて、目的地に着いた。

空澄はその景色に見とれているのかさっきまで忙しなく話していた唇が動きを止めた。


「何で?」


その景色を静かに眺めていた空澄が俺の方に視線を向けてそう言った。

何故ここに来たんだ?って聞きたいらしい。


『好きかなって!』

「…教会なんて普段来る事ないけど、綺麗だねぇ。」


そう言ってまたその景色を眺め始めた。


『中入ってみる?』

「‥‥いい、外から見てる。」


俺の予想に反した言葉が返ってきた。だけど、すぐにその理由がわかった。


「ウエディングドレス着た時に入る。」

『…じゃあさ、コレ。』


俺はポケットに手を突っ込んでそこにある物を探す。

それはいつも入っている物とは違って、貰ってもらえないかもしれないと思いながら選んだ空澄へのプレゼント。
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