いちごキャンディー
指先に触れたそれを取り出して空澄に見せた。

綺麗な包装もリボンもない剥き出しのそれは、今の俺の気持ち‥‥

飾りたてない、素直な気持ち。


『空澄のために選んだんだ。』

「ももちゃん‥‥」


空澄の左手を取ってその薬指に俺の気持ちをはめた


『安物だけど、気持ちは込めた。空澄のこれからを俺に頂戴?』


教会には祈りを捧げる人達がいて、未だ降り続ける雪の純白の輝きがとても神聖な気持ちにさせた。


「…ももちゃんのこれからは私にくれるの?」


空澄は左手を俺と自分の間にかざしながら、目を潤ませた。

そして、いちごキャンディーを食べた時よりも綺麗に笑った。


『もちろん。』

「ふふっ(笑)」


永遠の愛を誓うこの教会で、15年しか生きていないガキの俺が‥‥

頼りなくも、希望に満ちた未来を誓った。



“大好きだ。”




『あー、寒いし帰るか!!』


空澄の鼻、頬、耳が赤くなってる。


「うん!ケーキ食べるっ!」


白い息を吐きながら笑う空澄の手を、今度は自然に握って家路についた。
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