いちごキャンディー
野球ボールほどの大きさの丸い瓶に赤い飴がたっぷり詰まった空澄からのプレゼント。

迷惑な訳じゃないけど、空澄があえて飴を選んだことが不思議だった。


「私が泣くといつもくれてたでしょ!?イチゴキャンディー。」

『だってお前泣きやむじゃん(笑)』


俺が笑って言ったからか“どうせガキですよ”と、少しふてくされる様に呟いた。


「幸せな気持ちになれるのっ!!だから、ももちゃんにもあげたかったんだ。」


俺にも幸せになって欲しかったから?

やばい‥‥可愛い。


「辛くても…頑張れるんだよ!!だから、これからも頂戴ね?」


空澄が笑いながら言った言葉に俺はある事を思い出した。

そして飴の詰まった瓶の蓋を開けて一粒取りだして空澄に言った。


『俺の幸せは空澄が隣で笑ってくれる事だから。』


そう、矢野から頼まれた事。

掴んでいた一粒のイチゴキャンディーを空澄の口元に運ぶ。いつもの事だから自然に開いたそこにキャンディーを落とした。


『だから、何かあったら話して?俺、ちゃんと守るから。空澄の事!!』


その笑顔をきっと守ってみせるよ。


「えっ??ももちゃ‥」
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