いちごキャンディー
―ガチャ

『…』


隆平の部屋のドアを開けると

小さな寝息をたてて寝てる空澄が、目に飛び込んできた

ご丁寧にブランケットが掛けられている



「ぉ…怒んなよ??」


隆平が心配そうに俺を見ている


『……っ』


近づいて気づいた…

少し屈んで、空澄に手を伸ばして頬にふれる


『‥泣いてたのか??』


入り口に立ったままの隆平を振り返りながら見上げる桃真に隆平は


「…うん」


と、一言だけ答えた。


『そっか…』


何で泣いたの?何があったの?

俺には言えない?


『空澄、空澄……起きて?』


軽く空澄の肩をたたいて起こす桃真


「……んぅー…っ」

『迎えにきたよ?帰ろう?』

「ももちゃん…?え?あぁっ……隆平くん、ごめんね。」

「俺は大丈夫。」


隆平はただそう言って笑った。




『…』

「………ももちゃん、ごめんね??」


隆平の家を出てから続く沈黙に、先に耐えられなくなったのは空澄だった


『お前昔からどこででも寝るよなぁ(笑)』


折角、うまく笑えたと思ったのに‥‥


「…ももちゃん、もういいよ?」

『何が?』

「私の世話してくれなくていいよ…」
< 44 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop