いちごキャンディー
――放課後

約束通り俺は榊と映画を見に行った。

映画館までの道のりで榊が俺に聞いてきた。


「桃真、聞いてい?」


真剣な顔でそう言うから少し緊張したけど


「空澄と喧嘩した?」


と、言う問いに


『してないけど?』


俺は出来るだけ平静を装ってそう返した


「そ?ならいいんだ(笑)」

『何だよそれ(笑)』

「いつもは生徒会終わるの待ってるじゃん?」

『榊が誘ったんだろ(笑)…何で知ってんの?』

「いつも見てたからに決まってるじゃん!」

『そっか!……ん?』


榊はサラっと言ったけど

それって、つまり…


「ほら、映画始まるよ!!」

『あ、うん!』

「行こ行こ。」


別に聞き返した訳じゃないんだけど、なんだか上手く誤魔化された気分になった。


映画はありがちなラブストーリー。

主人公の女の子が恋をした相手は、小さな頃から一緒に育った幼なじみの男の子だった。

ライバルも現れるが、やはりと言うべきか、お約束な展開で、結局両思いになって終わった。

正直、つまらなかった…

幼なじみなんて上手くいくわけがない。

そんな現実を知っているから…



「つまんなかったね(笑)」


映画館を出て開口一番、榊が言った
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