いちごキャンディー
『俺さ‥‥』


振り返ったももちゃんは今まで見たことのない顔をしていた。


『俺、榊と付き合うことにしたんだ。』


あぁ、私って我が儘だ‥‥

若葉と上手くいけばいいと思ってたのに、実際にそうなれば寂しいと思う。


自分で甘えないって決めたのに、置いてかないで欲しい。


ももちゃんの顔が少年から大人に変わるのがこんなに切ないなんて…


「そっか、よかったね!」

『これでお前に世話焼いてる暇なくなるから、安心しろ(笑)』



そう言われて自分がどれだけ贅沢だったのかわかったよ。


いつまでも一緒にはいれないんだね


お互いに好きな人ができて

少しずつ離れていくんだね



もし若葉を紹介しなければいつまで一緒にいれたかな?


なんて考える自分がすごくイヤになった


『空澄も頑張れよ、矢野の事』

「えっ!?」


ももちゃんには言ってないのに、なんで‥‥


『俺がどれだけお前と一緒にいたと思ってんだよ(笑)見てればわかるよ。』


そう言って一度だけ私の頭を撫でて家へ入っていった。

その動作は少しも真桜兄に似ていなかった‥‥
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