いちごキャンディー
――バタン

家に入ってすぐに部屋に向かった

ドアを閉めて、そのまま背中を預けてしゃがみ込む


『‥‥‥』


きっと、俺は榊を好きになる‥‥

そのうち、この胸の痛みも懐かしさに変わる


今日だけは‥‥泣いていいかな



―――
――――

「ねぇ、桃真」


榊を送る途中、思いもかけない言葉を聞いた


『何?』

「わかってるだろうけどさ、桃真が好きだから。」


いつも見せる豪快な笑顔じゃなくて、とても控えめに笑った榊


「最初はかっこいいなって思ってただけだったんだけど、さり気なく優しいところとか、時々見せる子供っぽさとか…」


ゆっくりゆっくり話す榊


「すごく好きです。よかったら、付き合ってくれませんか??」


今まで告白してきた女の子とは違って、俺を知ろうとしてくれた。

そんな事が素直に嬉しかった。


この子なら好きになれると思った…


『うん、よろしく。』



だから、付き合うことに決めたんだ

――
―――


膝を抱えて顔を埋め泣いた


『‥‥っ…』


いつまで続くのかわからない痛みも涙も

大丈夫、きっといつまでも続かない‥‥

願い続けた幸せの様に
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