いちごキャンディー
しばらくして、榊がクッキーを持ってやってきた


『いらっしゃい。』


玄関まで榊を迎えに行くと、母さんとおばさんは二人で出かけていていなかった

俺にとってはラッキーだ


―ガチャ

「ここが桃真の部屋?」

「若葉ぁ!!助けてぇ〜!」


榊が部屋に入った瞬間、空澄は助けを求めた


「ごめん、無理(笑)」


だが、そのSOSはあっさりと交わされてしまった様だ


『榊がクッキー持ってきてくれたから休憩しよっか?』


俺がそう言った途端に空澄は元気になった


「命の保証はしないよ(笑)」


そう言って持ってきたクッキーを広げた榊


『‥‥』
「…」


お世辞にも良く出来てるとは言いがたい、不格好なクッキーが並んでいる。

空澄も俺と同じ事を考えたのだろう、さっきの元気は消えて黙ってしまった


『‥いただきます』
「いただきます……」


俺たちは意を決して、そのクッキーに手を伸ばした
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