いちごキャンディー
いつでも自信過剰なほどの兄貴が少し落ち込んでいるように見えた。


「俺、結構好きだったんだけどなぁ‥‥あいつ、実家に戻って結婚するんだとさ。」


その人は北海道出身の人で、こっちで働いていたらしい。

友達の紹介で知り合った、一つ年下の女性だそうだ。


母さんは知っていたみたいだ。


「それが少し前に“私、結婚する”とかいい始めてさ‥ふられた!!」

『何で急に…』


兄貴は何ともなさそうに話しているのに、俺の方が苦しくなってくる。


「親の頼みだってさ、地元に戻って結婚してほしいって。」


『会いに行くんだ?』


俺が言った言葉に鼻で笑った兄貴は少しかっこよく見えたんだ。


「会いに?はっ。まさか‥‥」


きっと上手くやるって自信に満ちた顔して言った


「‥誘拐しに行くんだ。」


俺が感じた落ち込んだ様子は、もう…その目にはなくなっていた
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