いちごキャンディー
空澄の笑い声と一緒に聞こえた小さな音

あれは空澄が悲しみに耐えている音だ


あいつの部屋にあるオルゴールの音色‥‥小せぇ頃から何か悲しい事があるたび聞いてたあの音色


もしかして‥‥あいつ…


空澄の家に着くと、とても静かだった

おばさんもおじさんもいなかったから勝手に上がらせてもらい、空澄の部屋に向かった


『‥‥』


ドアの前に立つとさっきより鮮明に聞こえる音色


―コンコンッ
―――ガチャ

『空澄‥』


ノックをしてドアを開けた


「ももちゃん…」

『やっぱり、今日用事なんてなかったんだろ。』


俺はため息と一緒に言葉を発した

空澄の目は絵本のウサギ何かより赤くて
その顔はいつもよりも白く見えた


「ももちゃんが心配すると思って‥何でバレたの(笑)?」


無理して笑う空澄の腕を引いて抱きしめた


「っももちゃん!?」


空澄は驚いているけど関係ない


『何で‥泣いてんだよ…』

「やだなぁ、もう泣いてないよー(笑)」


そう言って俺の腕から逃れようとする空澄を離さないようにもう一度抱きしめ返した


『泣いてるよ‥‥涙なんて流さなくても、泣けるんだよ‥‥』
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