いちごキャンディー
何で俺におみやげをくれるんだろう!?


『で、結局なんで‥‥』

――ガタン

俺が口を開いた瞬間、大きく揺れて電車は目的の駅へ到着した


「あ、着いたよ!!」

『うん‥‥』


立ち上がった榊の後を追いかけ電車を降りた

俺はおみやげの意味を聞きそびれて、そのタイミングを失った


駅から榊の家まで歩いていると榊が急に立ち止まった


「私ねー、剛に告白されたんだ!!」


榊とつきあい初めて何度も一緒にあるいた川沿いの道

榊の顔は後ろに浮かんだ夕日で眩しく見えない


『うん。』


きっともう少し間合いを積めればその表情ははっきりするんだろう…

だけど、俺はただそう答えた


「ごめん!!」

『何が?!』


少し間合いを積めてその言葉の意味を尋ねた


「桃真のこと好きになって‥‥」

『何言って‥』


また少し間合いを積める


あぁ…‥何で俺はこんな人間なんだろう


いつも自分のことしか考えてないんだ


空澄の事だって
榊の事だって

何一つ考えてないじゃないか……



『‥‥ごめん。』


泣かせたいわけじゃないんだ…
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