いちごキャンディー
俺も右手を差し出して、榊の右手を握った


『うん。』


榊が一度ぎゅっと力を込めて握り返してきて、その後すぐに手を離した


「よかった(笑)」


そこからは並んで榊の家に向かった

手はもう繋がらなかった


「さっきの貝ね、桃真みたいでしょ?」

『は?』


俺が気になっていたおみやげについて口を開いた榊


「桃色でさぁー(笑)」

『桃だからなんだ?!』


桃つながりで似てるって言われてるんだ‥‥

俺と貝


「瓶に閉じこもってるし?」

『貝は閉じこめられてるんじゃないの?』


そう言った俺に


「自分は閉じこもってるって認めるんだ(笑)」


榊はそう返して笑った


「あの瓶の中の桃真は私に頂戴?!」

『は?』

「今ここにいる桃真は今日から瓶の外に出るんだよ!自分の気持ちに蓋しちゃダメ!!」


そして榊は“瓶の中の桃真は私との思い出としてとっといてよ”と笑った



――
―――

榊の家について、玄関の前で精一杯の気持ちを伝えた


『ありがとな。』

「私の方こそありがとう」


そして俺たちは恋人から友達に戻った
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