姫とギター〜麗しき美男子の城〜
その瞬間、もう止められなくなった。
愛しさが込み上げ、理性が吹き飛ぶ。
俺は、ほとんど強引に千早の腕を引いて、唇を重ねた。
パァン、とまた夜空から花開いた音が聞こえる。
唇を離すと、目を見開いた千早。
まだ唇が触れてしまいそうな距離で、俺は言った。
「…やっと、捕まえた。」
凶暴な歌姫が呆然としているうちに、もう一度口付ける。
千早の手が――俺の背中を抱くように触れた。