姫とギター〜麗しき美男子の城〜
リョウが指を差した先、
フードを目深に被った奴が恐ろしい勢いでメシを掻き込んでいる。
パエリアも、スペアリブも手掴みで………しかも、何だ!!この腐敗臭はっ!!!
俺は思わず鼻を摘んだ。
あれが、新入りか!!?
泥まみれの服、椅子の上に裸足で胡坐、
指先から滴り落ちる油を舐めとる姿はセクシーとかでなく……ただのサルだった。
この腐敗臭って……まさか、あの新入りか!?
何日風呂入ってねぇんだよ!!
呆然とする俺とリョウ、
一方、香住は穏やかに新入りを見つめる。
「美味しいですか?」
新入りは黙って頷く。
とにかくメシに夢中らしい。
「それは良かったです。
まだまだおかわりはありますから、ゆっくり食べて大丈夫ですよ。」
「カスミ!」
リョウが声を荒げた。
「ボクは無理だよっ!こんな汚くて、臭くて……絶対無理!!同じ人間とは思えない!!ボクの美的センスが許さないよっ!!」
……お前の美的センスこそ無理だ、俺は。