キスフレンド【完】

その後も、姫の家族話は続いた。


一度話し始めると、止まらなくなったんだろう。


姫はお父さんが亡くなってから今までの出来事を、言葉を詰まらせながら話してくれた。


「姫、後悔してるんじゃない?本当は弟の誕生日、一緒に祝ってあげたかったんだろ?」


「……うん。だけど、やっぱりあたしは邪魔者だから。いない方がいいと思って」


「邪魔者って、誰かに言われた?」


「いらない子って、おばさんに言われたけどね」


わざとらしく明るく話す姫。


『姫はいらない子』


学校でのそんな噂話がふと頭を過り複雑な気持ちになった。


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