キスフレンド【完】
しばらくプラプラと散歩している時、紫苑は少し離れた場所にある自販機に目を向けた。
「喉渇いた。何か買ってくるから、姫はここで待ってて」
「うん」
一人で歩き出した紫苑の背中を目で追う。
背も高いし、体のラインも細い。
女の子達がモデルって疑うのも無理はない。
「あっ……」
その時、自販機に向かう途中の紫苑に女の人が駆け寄って声をかけた。
あたしのいる位置から、二人が何を喋っているのかよく分からない。
だけど遠目でも、その女の人が明らかに年上だってことはわかった。
紫苑に抱かれた人……?それとも、逆ナン?
胸がズキズキと痛んで、キュッと唇を噛む。
紫苑の交友関係を勝手に詮索して傷付くなんて、
あたし……バカみたいだね。