キスフレンド【完】
「そこ、どいてくんない?」
「……ちょっ!!紫苑君!!」
俺の手を掴む女を無理矢理振り払うと、俺はすぐに姫を追いかけた。
頭で考えるより先に体が動いて。
姫のこととなると自分をコントロールできなくなる。
勘違いされたって、別にいいはずなのに。
俺は今までこうやって色んな女と関係をもってきたし、これから先もずっとそれが続くはずだった。
誰にどう思われようと、これが本当の俺。
それなのに、どうして俺は走っているんだろう。
どうして必死で姫を追いかけているんだろう。
苦しいほどの胸の痛みを抱えながら。