キスフレンド【完】
「……――やっぱりここにいたんだ?」
屋上の扉を開けると、姫が地面に座り込んで膝を抱えていた。
膝の間に顔を埋めている姫の横に座って話しかけても、姫は何も言わない。
だけど、その背中は小刻みに震えていた。
「姫、あれは誤解だって」
俺、珍しくちゃんと断った。
姫と出会う前の俺だったら、女から押し倒されて拒否することなんてなかったんだ。
それがタイプの女じゃなかったとしても。
……それだけは分かって。