キスフレンド【完】
真っ赤に充血した瞳。
目に浮かぶ大粒の涙。
「してないよ」
そう答えて姫の涙を指で拭うと、姫は唇を震わせた。
「……紫苑は、あたしみたいな女嫌いでしょ?」
「姫みたいな女って?」
「紫苑が他の女の子とエッチしたかもってすごく嫌な気持ちになって泣く女」
確かに嫌いだ。
そういう嫉妬も束縛も干渉も。
目の前で泣かれると、困るしめんどくさい。
「あたしは紫苑の彼女でもなんでもないのに……バカみたいでしょ?」
だけど、姫なら嫌じゃない。
バカだなんて思わない。
そうじゃなきゃ、こんなところまでわざわざ追いかけてくるわけない。