キスフレンド【完】
「今夜が山って……シロ、死んじゃうってこと?」
唇を震わせて絞り出す様な声で姫はそう尋ねる。
「そうらしい。ここまで持ったのが奇跡だって」
「奇跡……」
そう言ったっきり口を結んでジッとシロを見つめる姫。
その横顔はひどく辛そうで、俺は姫をこの部屋に入れたことを後悔した。
俺だけで看とった方がよかったのかもしれない。
姫は小学生で父親を亡くしている。
シロが死ぬところを見ればきっと思い出してしまうだろう。
父親が亡くなった時のことを。
人の命も動物の命も、同じくらいの価値がある。
そして、同じくらいの悲しみがある。