キスフレンド【完】
シロは最後の力を振り絞って目を開けてくれたに違いない。
もう衰弱しきっていて、声も出せなかったシロ。
片方だけ開いた目で俺達をジッと見ていた。
「ありがとう」って言いたかったか?
それとも「もっと生きたかった」って言いたかったか?
お前、一生懸命生きたよ。
一緒にいられた時間は短かったけど、お前と一緒にいられて幸せだった。
誰もいない暗くて静かな家に帰ってくるのが、ずっと嫌でたまらなかった。
だけど、シロがうちにきてからは家に帰るのが楽しみになったんだ。
玄関を開けると、お前がヨタヨタと近付いてきてくれるから。
『おかえり』って言うみたいに『ニャー』ってか細い声で泣いてくれたから。
俺は確かに、お前に救われたんだ。