キスフレンド【完】
本当の気持ち【紫苑side】
【紫苑side】
「いい天気……」
ダラダラと歩きながら真っ青に晴れ渡る空を見上げる。
あの街を離れてから半年が過ぎた。
姫は今、何をしているんだろう。
突然姿を消したのは自分なのに、会いたくてたまらない。
姫に会って今更何をするつもりなのか分からないし、何を言っていいのかも分からない。
半年の間に彼氏ができて俺のことなんてすっかり忘れているかもしれない。
俺があげた指輪も手袋も、もう捨てられているかもしれない。
もしかしたら、大家に預けた手袋は姫の手に渡っていないかもしれない。
だけど、どうしても会いたくて。