キスフレンド【完】


……――寒さの厳しい2月。


あたしと紫苑は小さなベッドの中で身を寄せ合っていた。


「俺、今日の朝ご飯はオムライスがいいんだけど」


「え~!!朝は納豆でしょ?オムライスは却下!」


「朝から納豆ってキツくない?俺、納豆苦手」


「納豆は体にいいんだよ?」


「だってネバネバしてるし臭いじゃん」


「も~、紫苑ってホント好き嫌い多いよね」


朝ご飯は絶対に和食のあたしとは反対に紫苑は洋食を好む。


でも、夜型の紫苑が朝ご飯を食べることはほとんどない。


紫苑が朝早く起きるなんて珍しい。


昨日は0時まで紫苑の帰りを待っていたけれど、いつの間にか眠ってしまっていて。


紫苑がいつ帰ってきたのかは分からない。


だけど、目が覚めると、紫苑があたしの髪を撫でながら柔らかい笑みを浮かべていた。
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