キスフレンド【完】
あたしが疲れている時、紫苑はキスをしてくれる。
『あんまり無理すんな』って意味を込めて。
あたしが嬉しい時もキスしてくれる。
『よかったね』って意味を込めて。
多分、あたし達はお互いの唇を重ね合わせることで不安定な気持ちのバランスをとっていた。
あたしが苦しい時や辛い時、紫苑は唇であたしを励ましてくれる。
だから、あたしも紫苑が苦しい時、唇で励ますんだ。
こんな関係、みんなには理解してもらえないかも。
だけど、それでもいい。
きっと、紫苑は分かってくれていると思うから。
紫苑だけが分かってくれるならば……
あたしはそれで十分なんだ。