キスフレンド【完】
キスフレンド【紫苑side】
【紫苑side】
「ンッ……――!!しお……んくんっ!!」
俺の下で女が顔を歪める。その顔に見覚えがあってゾッとした。
女はみんな、こういう行為の時、同じ顔をするから。
昔、母親が見知らぬ男とベッドの中で何かをしていた。
その『何か』が何であるのか、あの時はまだ幼すぎて分からなかった。
ただ、知らない男に母親がいじめられているのかと思って助けようと必死だった。
「……――お母さんをいじめるな!!」
とっさに部屋に飛び込んで布団をまくりあげると、ベッドの上で裸の母親と男が抱き合っていた。
「あっ……」
その時、驚く俺を憎々しげに睨んでいた母親の顔が未だに忘れられない。