キスフレンド【完】
「キミが噂の『姫』?」
数ヶ月前、俺は屋上で初めて姫と言葉を交わした。
背中まである茶色いストレートの髪。
小さい顔、柔らかそうな頬。
パッチリとした二重の大きな目。
肌は真っ白で、赤い唇がよくはえていた。
手足なんて折れそうなほど細い。
「ねぇ、聞いてんの?」
姫は俺を真っ直ぐ見つめたまま身動き一つしない。
やっぱり、この子、姫だ。
お姫様。周りの奴らがそう呼ぶのも頷ける。
今までだって、可愛い子や綺麗な子が周りにいなかったわけじゃない。
だけど、姫はどの子とも違う独特のオーラを放っていた。