キスフレンド【完】
「ねぇ、紫苑。シロ……本当に一カ月経ったら死んじゃうのかな……?」
ぼんやりとシロの顔を見ながらそう口にした姫。
さっきまでの笑みは消えて途端に不安そうな顔つきに変わった。
俺は首を左右に軽く振って答えた。
「俺にも分からない」
「あたし達……シロに何かしてあげられることないのかな?」
唇をキュッと噛み締めて感情をコントロールしているように見える姫。
俺はそんな姫の髪に手を伸ばした。
茶色い手入れの行き届いたサラサラの髪。
髪に指を通して、その指が頬まで到達した時、姫と目が合った。
姫の頬が薄らと赤くなる。
やっぱり、姫はお姫様みたいだ。
そして、俺達は引き寄せられる様に唇を重ね合わせた。
「これから俺達がシロに何をしてあげられるのか……一緒に考えよう」
「うん、そうだね」
この日から、俺と姫にシロという大きな仲間が加わった。