雪色の魔法
やっぱり、英士くんって凄い。
今、少しずつだけど、こうして笑うことができるのは、英士くんのお蔭かな。
──寒っ。
風が変わったのか、さっきよりも一段と冷たい空気が、頬に刺激を受けた。
「やべっ!
急がないと雪降られるぞ」
嘘?
こんなに晴れているのに?
英士くんの予想をした5分後には、空には白い雲が拡がっていた。
お天気お兄さんみたいだね。
そして、静かに落ちてきた雪は綿のように大きく、あっという間にマフラーをも白く染めていった。
「取り敢えず、どっかの店入ろう」
「うん」
あたし達は通りがかりの喫茶店で、少し暖まる事にした。
テーブル席が6つと、カウンターが有るだけの小さなお店。
ランチでもなく、おやつの時間でもないせいか、お客さんはあまり見られない。