雪色の魔法
「俺、辛いよ。
笑ってない椎野見るの」
少しは、笑えるようになったと思ってたんだけどなぁ。
英士くんって、千里眼だね。
気遣ってくれて、ありがとう。
だけど、
「今は、……ごめん」
「……だよな。
クソゥ、俺はいつになったら越えらるんだぁ?」
英士くんには、英士の魅力があるから。
彼に拘らなくていいと思う。
こんな事を言っても気休めにもならないよね。
結局、あたしは英士くんを傷付けているだけだよね。
雪、早く止まないかな。
こんな沈黙の時に、降り止まない雪を恨めしく思う。