雪色の魔法

「積もるかなぁ」

「……そうだね」

本当にいつになったら止むんだろう。

「雪合戦しよ」

「えっ!?」

「この街いっぱいに積もったらさ、一緒に雪合戦しよう」

屈託のない笑顔には敵わなく、あたしは静かに頷いた。

温かな小さな約束に、消えかけた心の灯火が光り出した。

やっぱり、英士くんとはこんな風に笑いあえる友達でいたいな。

ずっと、ずっと。



「俺さ、決めたから」

「何を?」

「椎野が笑える日が来るまで傍にいてやる」

「ありがとう」

友達として元気付けてくれているんだよね。

自分に言い聞かせ、今は彼の優しさに甘えることにしよう。

しばらくの間、他愛もい話でゆっくりと時間が過ぎた。

雪が止み、あたし達はカフェで別れを告げた。



< 20 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop