雪色の魔法
「積もるかなぁ」
「……そうだね」
本当にいつになったら止むんだろう。
「雪合戦しよ」
「えっ!?」
「この街いっぱいに積もったらさ、一緒に雪合戦しよう」
屈託のない笑顔には敵わなく、あたしは静かに頷いた。
温かな小さな約束に、消えかけた心の灯火が光り出した。
やっぱり、英士くんとはこんな風に笑いあえる友達でいたいな。
ずっと、ずっと。
「俺さ、決めたから」
「何を?」
「椎野が笑える日が来るまで傍にいてやる」
「ありがとう」
友達として元気付けてくれているんだよね。
自分に言い聞かせ、今は彼の優しさに甘えることにしよう。
しばらくの間、他愛もい話でゆっくりと時間が過ぎた。
雪が止み、あたし達はカフェで別れを告げた。