雪色の魔法
「これ、あげる」
「何々?
やっと、俺の事好きになってくれたりとか?」
「ごめんね、それはない」
「分かってるよ。
けど、そこまではっきり言われるとやっぱりショックだよなぁ」
義理ならいらないって言っていたけど、受け取って欲しい。
感謝の気持ちを込めて作ったチョコレート。
「いらないの?」
「いや、いる。
……ありがとな」
冗談めかしながら頭をクシャクャって撫でられた。
英士くんの手って、温かくて、大きくて
「お父さんみたい」
「ひでぇなあ。
俺まだ、20代だぞ!?」
「そうだね」
英士くんとあたし、歳はそう変わらないのは知っているけど、お父さんみたいに安心する手なんだもの。
ねえ、拓海。
貴方が唯一、彼を心から許していたのは、やっぱりこういう存在だからかな?