雪色の魔法
空を見上げたら
静かに舞い落ちてくる白い雪。
この先の事なんて、どうなるのか、分からない。
拓海が敷いてくれたレールなのかは謎のまま。
だけど、あたしは今差し出された小さな光を信じて歩いていくよ。
この小さな一歩で、変われるかな?
「……あっ」
「どうした?」
「今、雪の中から──」
笑っている拓海が見えたのは気のせいかな。
お空に逝ったあの人をいつまで思ったって、帰ってくるわけじゃない。
頭では分かっていても、今は色々な時に影を感じてしまう。
「椎野、アイツを忘れるなよ!
ずっと、な」
「え、うん」
「俺は、そんな一途な小雪が好きだから」
一瞬にして、冷たい雪とカカオの香りに包まれた。
友達の距離は縮まらない。
それでも、あたし達は今、新たな道を歩き出したのかもしれないね
─おわり─
2011,02,09
花穏