求愛
だって梢にとって本当に必要なのは、直人のような存在なんだと思うから。


だから例えばいつか、彼女が苦しみを乗り越えた時、あたし達より近くにいてあげてほしい。


直人の優しさは、真っ直ぐで強いって知ってるから。



「梢は本当は、誰かに心の底から愛されたいはずなの。」


梢を救ってあげてほしい。


彼女はもうこれ以上傷つくべきじゃないのだから。


例え今すぐには無理だとしても、きっと直人の力があれば、梢は必ず前を向けるはず。



「何かわかんないけど、リサの気持ちはいただきました。」


直人は歯を見せて笑った。



「俺、絶対梢に対しての気持ち、変わんないから。」


「………」


「だからリサからの励ましもあることだし、何度当たって砕けても頑張るよ。」


この人らしいなと思う。


ピースを作って笑う直人を見て、あたしまで少し笑ってしまった。



「てか、リサこそさっさとカレシ作れよな。」


「アンタに言われたくないわよ。」


また顔を見合せて笑ったら、直人は幾分元気になったようで、



「俺、梢んとこ行くわ。」

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