求愛
最初は遊んでいる男達のうちの誰かなんじゃないかと思い、アドレスを変えたり、指定拒否にしてみた。


けれど、相手もその都度、新しいアドレスに変えて同じことを送ってくる。


2度、3度、とそれが続き、結局はいたちごっこだった。


もしかしたら犯人は知り合いの可能性もあるけれど、やっぱり特定するには至らない。


別に待ち伏せをされたり、何か具体的に被害があったわけでもないので、今は放置しているけれど。



「リサ、大丈夫?」


乃愛の声に弾かれたように笑顔を作った。



「まぁ、あたしを恨むヤツなんて多いだろうし。」


笑い話のように言ったけど、でもじんわりと手の平が汗ばむのを感じてしまう。


彼女は少し不安そうな顔でこちらを見た。



「だってさぁ、梢みたく何かあってからじゃ遅いんだよ。」


「ありえないってば。
どうせ春樹が友達使ってあたしに嫌がらせでもしてるつもりなのよ、きっと。」


そうに決まってる。


断言したように言って、まだ何か言いたげな乃愛の言葉を遮り、あたしは再び歩き出した。


昼下がりの陽射しは強く、街ではどこからともなく軽快なリズムが流れてくる。


もう夏休みも間近だ。


それから、乃愛とマックで食事をして、明日もテストがあるからと、それぞれに別れた。


早くタカに会いたかった。

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