求愛

鈍色の輝き

こんなつまらない世界なら、いっそなくなってしまえば良いのに。


いや、消えれば良いのはあたしだけなのかもしれないけれど。


繰り返す毎日に諦めを覚え、くだらない人間関係に嫌悪しながら、それでも生きなければならないだなんて、絶望的だ。




【ドラマ見逃したし、最悪!】

【昨日は楽しかったね。】

【さっき事故現場目撃しちゃったー!】

【今って何してる?】

【パンツ何色?】




携帯に入るメールは、どれもお決まりのものばかりで、嫌になる。


最後のやつ以外には適当に返事を打ち、欠伸を噛み殺した。


正直、暇は苦手。


煙草の煙を吐き出しながら携帯を閉じ、テレビから聞こえるニュースの声に耳を傾けた。


誰々が死んだだとか、闇献金疑惑だとか、泥沼離婚だとか、そんな話題ばかりが垂れ流され、ヘドが出そう。


薄汚れてて、淀んでて、何ひとつ救いのない、この世界。




【キミの体を想像するだけで興奮するよ。】




馬鹿みたい。


死ねば良いんだ、塵のひとつも残さずに。


体中の痛みに耐え、心すら捨てられるならば、どんなに楽だろうかと望んでしまう。





そうやってまた、
似たような“今日”は繰り返される。






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