求愛
「ねぇ、春樹は?!」
お掛けください、と椅子に座るよう促されたが、それどころじゃない。
声を荒げたあたしに向け、彼はため息をひとつ吐き出し、
「簡潔に言えば、危ない状態であることに変わりありません。」
求めていた答えではない。
どうして医者のくせに、何とかしてくれないのだろう。
彼はCTか何かの画像を見せ、
「こちらを見ていただければわかる通り、脳の損傷が激しく、助かる可能性は極めて低いものと思われます。」
「…そん、な…」
「現時点では、これ以上の手術は彼の体力が持たないでしょうから。」
一応、それ相応の覚悟は決めておいてください。
そんな一言が添えられ、あたしは卒倒してしまいそうだった。
いや、倒れられたなら、どんなに楽だったことか。
「この状態を脱したとしても、植物状態になるか、もしも意識が戻ったとしても、後遺症が残ることは確実でしょう。」
頭の中がぐわんぐわんと揺れている。
続いて見せられたカルテのようなものには、走り書きのような文字がびっしりと埋め尽くされていて、とても読むことは叶わなかった。
一度は助かるんだと希望を見たのに、その直後にまた絶望に襲われる。
血の気を失い青ざめたままのあたしを見て、医師は少し言いにくそうに問うてきた。
「…あの、あなたまだ未成年ですよね?」
「え?」
「今後のことなどを含めても、色々とご承諾いただかなければならない書類もありますし、出来たら親御さんかご親族か、お話の出来る方にいらしていただかないことには…」
お掛けください、と椅子に座るよう促されたが、それどころじゃない。
声を荒げたあたしに向け、彼はため息をひとつ吐き出し、
「簡潔に言えば、危ない状態であることに変わりありません。」
求めていた答えではない。
どうして医者のくせに、何とかしてくれないのだろう。
彼はCTか何かの画像を見せ、
「こちらを見ていただければわかる通り、脳の損傷が激しく、助かる可能性は極めて低いものと思われます。」
「…そん、な…」
「現時点では、これ以上の手術は彼の体力が持たないでしょうから。」
一応、それ相応の覚悟は決めておいてください。
そんな一言が添えられ、あたしは卒倒してしまいそうだった。
いや、倒れられたなら、どんなに楽だったことか。
「この状態を脱したとしても、植物状態になるか、もしも意識が戻ったとしても、後遺症が残ることは確実でしょう。」
頭の中がぐわんぐわんと揺れている。
続いて見せられたカルテのようなものには、走り書きのような文字がびっしりと埋め尽くされていて、とても読むことは叶わなかった。
一度は助かるんだと希望を見たのに、その直後にまた絶望に襲われる。
血の気を失い青ざめたままのあたしを見て、医師は少し言いにくそうに問うてきた。
「…あの、あなたまだ未成年ですよね?」
「え?」
「今後のことなどを含めても、色々とご承諾いただかなければならない書類もありますし、出来たら親御さんかご親族か、お話の出来る方にいらしていただかないことには…」