求愛
「手首、まだ痛むか?」
まさか、気に掛けてくれるなんて思わなかったけど。
タカは床に座り込むあたしの方に手を伸ばし、何だかこれじゃあまるで、主従関係のようにも見えるが。
先ほどまで、あたしに向けて鈍色の刃を握っていたその手は、思ったよりずっと骨っぽくて驚いた。
それでも彼は、表情ひとつ変えることはない。
「つか、今更だけどさ、お前高校生だっけ?」
「学生証見たでしょ。」
まぁ、真面目な生徒からは程遠いけど。
ニコチンが肺に満ち、煙はピンクライトに染まる中を揺れるように漂っている。
「親は?」
答えることはしなかった。
するとタカは肩をすくめ、それ以上は聞いては来ない。
「ねぇ、あたしが暴れたり叫んだりしてたら、殺してた?」
「あぁ、殺してた。」
「タカは人を殺したこと、あるの?」
「さぁね、どうだったかな。」
そう言った彼は、冗談とも本気ともつかないような顔をした。
けれど、怖いとは思わないあたしは、やっぱりどこかおかしいのかもしれない。
ただ、あのまま殺してくれれば良かったのにと、心の端で思ってしまう。
まさか、気に掛けてくれるなんて思わなかったけど。
タカは床に座り込むあたしの方に手を伸ばし、何だかこれじゃあまるで、主従関係のようにも見えるが。
先ほどまで、あたしに向けて鈍色の刃を握っていたその手は、思ったよりずっと骨っぽくて驚いた。
それでも彼は、表情ひとつ変えることはない。
「つか、今更だけどさ、お前高校生だっけ?」
「学生証見たでしょ。」
まぁ、真面目な生徒からは程遠いけど。
ニコチンが肺に満ち、煙はピンクライトに染まる中を揺れるように漂っている。
「親は?」
答えることはしなかった。
するとタカは肩をすくめ、それ以上は聞いては来ない。
「ねぇ、あたしが暴れたり叫んだりしてたら、殺してた?」
「あぁ、殺してた。」
「タカは人を殺したこと、あるの?」
「さぁね、どうだったかな。」
そう言った彼は、冗談とも本気ともつかないような顔をした。
けれど、怖いとは思わないあたしは、やっぱりどこかおかしいのかもしれない。
ただ、あのまま殺してくれれば良かったのにと、心の端で思ってしまう。