あした
「素敵な娘さんね。」

「ふっ・・・誠が俺を病院に寄せ付けなかったわけだ。」

「そうね・・・あんたと マコちゃん 趣味や好みが良く似てるもんね。」

美雪がそう言って笑った。

「食べられない激辛カレー 完食して、あの子に デートでも申し込もうと
 思ったんでしょ・・・・」

「・・・・」

「図星。わかりやすい奴ね。本当に。今頃 マコちゃん 草葉の陰で
 笑ってるわよ・・・」

「だといいんだけどな・・・・」

「そう思わないわけ?」

「あいつが 元気だったら・・・・きっと  辛い思いしたかもな・・・」

「あら・・・どうして?」

「三角関で・・・・」

「ふっ・・・どんな顔して言ってるの?そんなこと。」

「だって、あいつ 生きている時 僕に 彼女のこと 紹介してくれなかったんだよ
 僕に 自分の命が 余命いくばくもないんだって・・・告白したときにも
 あいつの中で それほど 美咲ちゃんは大きくて大事な存在だったんだよ。
 だから・・・・きっと・・・・」

「違うと思うけどな・・・」

「そうかな・・・・」

「彼は 自分の生きている間は ただ 単純に 美咲さんのこと 一途に愛したかった
 だけだと思うよ・・・智也と自分の好みが似ている事は彼だって よくわかっていた
 だからこそ、反対に言えば あなたや美咲さんに辛い思いさせたくなかったんでしょう ね。病気じゃなかったら きっと 会わせたわよ。 三角関係覚悟の上でね。
 自分に時間が無いからこそ、自分がいなくなった後、自然にあなたと 美咲さんが
 出会う事のほうが あなたにとっても 美咲さんにとっても 自分にとっても
 幸せだと思ったんじゃないの?あの子は そういう配慮がさり気なく出来る子だった
 もの・・・・・」


「そうか・・・そうだよね・・・」

少しだけ寂しそうな表情で 智也が笑った。
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