あした
「でも、神様の 存在を疑ってみることがある。」

「神様を疑うなんて かなり 大胆ね。」

「ああ・・・婆ちゃんの口癖・・・苦あれば楽あり。人間は皆平等。婆ちゃんはクリスチャンだったからね。神様は 人間の親だって言ってた」

そうは とても思えない・・・・美咲はそんな風に感じた。

「そう思えないって顔しているね。 俺もそう思った時あるよ。でも、今は
 
 考え方変えた。あしたって字は 明るい日って書くんだぜ。」

【それが どうしたっていうんだよ・・・・】

「神様は表裏一体。 全部1セット だから 未来につながる明日って 明るい日って書くんだよ。 そう考えると 婆ちゃんは正しいこと 言っていたのかなって 近頃思うんだ。」

「そんなの・・・辛い思いをしたことのない 幸せな人間が言う事よ。」

「そんな人 この世の中にいるのか?」

彼と話をしていても 私の心の隙間はうまらない・・・

「私 帰る!!」

「帰るって・・・・」

「家に決まってるでしょ!」

「本当に 家へ帰るつもり?」

疑い深い目で誠が美咲を見た。

「な・・・・なんでよ。家へ帰らなかったら どこへ行くっていうの?」

「いや・・・別に あっ・・・・そうだ。美咲ちゃんの携帯番号教えて。」

「どうして 私の携帯の番号・・・」

「自転車 直ったら 連絡いれるよ。」

そう言われて 仕方なく美咲は携帯番号を誠に告げた。

と・・・美咲のポッケで携帯が鳴った。

「それが 俺の携帯番号。何かあったら 電話して!それじゃ」

ベンチから立ち上がると 誠はさっさと帰ってしまった。

【えっ・・・・公園みたいな 無用心な所に置いて帰るの・・・・】

美咲も仕方なく 重たい足を引きづるように家に向かって歩き出した。


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