あした

朝食のあと片付けをしている　幸子をぼんやりみながら　美咲は珈琲を飲んだ。

空になったマグカップを下げながら　幸子がお替りは?とたずねた。

「結構です」と答えて目をそらした　美咲をみて　幸子が微笑んで言った。

「マコの部屋で　待ってる？ああ、でもあの子の部屋は　汚いわね。」

「あっ、ここでいいです・・・・すみません　勝手に　押しかけて・・・」

「その　制服　聖泉女学園高校のでしょ？　優秀なのね。」

「そんな・・・・」

「あっ、電話してあげようか？無断欠席じゃ　まずいでしょ？」

「い・・・いえ、電話した所で　ばれちゃいますから・・・」

「私がお家の人になりかわれば　問題ないじゃない」

「それが・・・ＩＤがいるんです・・・・」

「ＩＤ？いやにハイテクなのね。」

「親にしか　通達してないＩＤがあって　それを言わないと・・・」

「へぇ～　親との連携プレイができてるのね。それじゃ　世間で言う
いろんな問題は全くなしね。」

「そうですね。教師に無理難題押し付けたり　
学校の教育方針にケチつける親はいませんね・・・・でも・・・」

「でも・・・何？」

「学校は　体面ばかり取り繕って・・・そこにいる生徒達の気持ちなんて
考えてはくれません。自分達の価値感を押し付ける先生に私は　ついていけなくて
・・・」

「どんな風に?」

「先生って　絶対的な存在なんですか？　先生の言う事って　全て正しいんですか？」

「ま・・・まぁ、先生だって　成長過程の大人だもん　失敗も間違いもあるわな。」

「ですよね・・・・」

「美咲ちゃんがわかっているなら　いいんじゃないの？」

「学校でそうでも　我慢できます・・・でも、家庭までそうなんです・・・

息苦しくて・・・・マコさんが　うらやましい。。。。」

「ああ、マコなんて　野放しの猿みたいな奴だから・・・私からみたら
美咲ちゃんみたいに　しっかりしている娘って　うらやましいよ。」