あした
「私 しっかりなんてしてません・・・・本当は 愚痴だってこぼしたいし、反発だってしたい。納得いかなければ とことん 学校の先生でも、両親でも 話したい なのに
その勇気もない・・・自分の人生 自分で決めていく根性もない 最低な人間なんです」

「ふ~ん・・・」

気のない返事をして 幸子がキッチンに立った。

やかんに水をいれ 火にかける・・・・

「もう一杯飲もうか。珈琲。」

美咲の 言葉に なにも 答えずに幸子は珈琲を入れ始めた。

キッチンに 珈琲にいい香りが漂う・・・・

マグカップに珈琲を注ぎながら 幸子が微笑んだ。

「ねぇ、お昼 何食べる?」

「えっ?」

「おなかがいっぱいになれば ポジティブになれるかもよ。」

そう言って いたずらっぽく 微笑む幸子をみて 笑うことがめったにない

慶子の事を思い出していた。

【お母さん・・・・昔は よく 笑っていたのに・・・・笑わなくなったのは
私のせい?】


「いいなぁ・・・・」ぽつんと 美咲が呟く。

「何が?」

「よく 笑うんですね・・・・」

「えっ?あ・・・・ああ、そう?泣き虫って マコはいうんだけどね。」

「泣くんですか?」

「も~悲しいドラマなんて見ると、 涙腺がめちゃめちゃ 弱くてね。美咲ちゃんは?」

「え・・・・私・・・・ですか?」

そういえば 私 最近 笑ってない・・・泣いてない・・・・イライラすることはあっても 怒る事がない・・・・なんなんの???私・・・・能面みたいな生活してる?


思い切り笑いたい・・・・



思い切り 泣きたい・・・・


思い切り 今の気持ちを 誰かにぶつけたい・・・・


誰に?誰にぶつけたい?

ぶつけたいのに ぶつける相手がいないじゃない・・・・

そう思ったとたん 涙が出てきた。


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