あした
俯いた 美咲を見て 幸子が顔を覗き込んだ。

「あらあら・・・・」

そういうと テッシュの箱をさり気なく 美咲の前に置いた。

「泣きたいなら 思い切り泣けばいいわ。私は・・・・ちょっと
マコの部屋 かたづけてくるから。」

そう言うと キッチンから出て行った。

『さぼりたければ サボれば・・・・』そう言って微笑んだ誠の笑顔が浮かんだ・・・

【親子そっくり・・・・】

うらやましいような 自分が惨めなような・・・・不思議な感覚・・・・

美咲は暫く 感情の赴くままに 泣きじゃくっていた。



どのくらい 泣いていたのか・・・・


「ただいまぁ~~」誠が入ってきた声で 美咲は我に帰った。

「えっ?」

テーブルの上のテッシュの山を見ながら 誠が呆れたように言った。


「なんだよ・・・・鼻かみテッシュ製造機かよ・・・・あれ?おふくろは?」

「マコさんのお部屋。」

「げっ・・・・・・」

あわてて 誠が自分の部屋に入っていった。


部屋の中では ベッドに腰掛けて 幸子がアダルト雑誌を見入っていた。

「お・・・・おふくろぉ・・・・・」

「今も、昔もそうだけど、どうして 男ってこの手の雑誌が好きかね。
よかったわぁ~ 美咲ちゃん いきなり こんな本ベッドに山積みしてある
部屋へ招き入れなくて。」

「はいはい、感謝しています」

雑誌をかたづけながら 誠が言った。

「ああ、それよか 今日は 半日だったわけ?それとも 美咲ちゃんの為に
午後は 臨時休業かな?」

「今日は もともと 午前授業だったんです。」

「そっかぁ~ じゃぁ たまには ランチでも食べにいこうかぁ~」

「あのね、学校無断でさぼってる娘 連れて 外食できると思う?
誘拐犯と間違えられるよ。」

「そうそう。聖泉女子学って ハイテクなのよ~親御さんにしか通達してない
IDを申請しないと いけないんですって・・・・なりすましができないのよ。
今の高校ってみんなそうなの?」

「なわけ ないだろう? 俺の行ってた高校なんて 俺自身が親になりすましたって
ばれなかっただろうが。」

「それも そうね。 うん」

妙に納得したように 幸子がうなずいた。







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