あした
「そうよ。 学校へ行かないわけも 要領得ないし、 いくら 注意しても無断で学校をさぼるしで、どうしていいのかわからないって・・・・」

「聴く耳持ってくれないのは お母さんと お父さんの方なのに・・・・」

「今みたいな いい加減な生活している 娘の言う事を 親は聴けると思う?」

いい加減な生活をしているつもりは 毛頭ないんだけど・・・・

2人の目にはそうにしか見えないのかな・・・・・

「まぁ、こっちに お父さんとお母さんがきたら 美咲の言い分にも耳傾けるように
 私からも 言ってみるから・・・・いい ちゃんと学校へはいきなさいよ。」

「お姉ちゃん?」

「うん?」

「お金 少し 貸してくれないかな・・・・お金も置いていってくれなかったの」

「も~ よっぽど 2人のへそ曲げるような事やったのね。」

そんなつもりもなかったんだが・・・・

「わかったよ。 内緒で郵便口座の方に明日 送金しておくから。
 無駄遣いしちゃ駄目よ」

「ありがとう・・・・・」



今日は 日曜日・・・


足は 気がつくと 誠のいる病院へ向かっていた。


病院の入り口で 1人の老人が 自分と同じくらいの娘に
杖を振り上げながら叫んでいた。


「おまえの 指図は受けない!! 早苗を連れて来い!!」

「だから おばあちゃんは 5年前に亡くなったでしょ?」

「お前は 誰だ? 早苗を殺したのか?」

「おじいちゃん。」

娘は 涙ぐんでいる。

「お前は誰だ?!」

「私は おじいちゃんの孫の 奈菜でしょ?」

「知らん!!そんな女!!奈菜は まだ 赤ん坊じゃ!!」

どうも 認知症の祖父の見舞いに来た孫のようだ・・・・

スタッフが 杖を振り上げてあばれている 老人の間に割って入った。

「そうですか。 おじいちゃんの知らない人でしたか。わかりました。
 とりあえずお部屋にもどりましょうか・・・・」

スタッフになだめすかされながら その老人は病室へ連れて行かれた。

その光景を あっけに取られてみていた 美咲の後で声がした。

誠だった。
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