あした
誠は 病院とグループホームの 共有スペエースである 中庭に 美咲を連れて行った。

ベンチに腰を下ろす・・・

目の前には さまざまなお年寄り達・・・

車椅子に腰掛 独り言をブツブツ言ってるお年寄りもいれば、

さっきの老人のように悪態を大声でついてる お年寄りもいる。

違うベンチに座って 遠い目をしてぼんやりしているお年寄り・・・・

そんなお年寄りの風景ををみながら 誠が言った。

「俺の 病室の窓から グループホームが良く見えるんだ・・・昨日さ、
美咲ちゃんが帰った後、俺 すこし院内を散策して歩いたんだ・・・・
 考えさせられたよ・・・・」

そう言った 誠の目は憂いに満ちていた。

「ねぇ、美咲ちゃん・・・・さっきの光景見て どう思った?」

 急に聞かれて 美咲が返事に詰まって俯いた。

「昨日さ、美咲ちゃんは 俺に どんなになってもいいから 生きていて欲しいといったよね・・・・ここにいる お年寄り達は 家族からそう思われているのかな・・・・」

「えっ?」

「自分の愛する 肉親の事も わからなくなって・・・・こんな風に 家族以外の人達の
 手を煩わせないと生きていけない この人達の家族は この人達が こんな風になっても生きていて欲しいと思っているのかな・・・・お荷物だと思っていないのかな・・・」

「お荷物だなんて・・・・そんな・・・・」

「どうかな・・・・老いて 人の世話にならないと生きていけない この人達を
 肉親はけっして 奇麗事を並び立てた 目線だけでは みてはいないはずだよ。
 彼らだって どうなんだ?今のこの状況を 幸せだと思っていると思う?」


「でも、さっきの子・・・・泣いてたもん・・・・奇麗事ばかりは確かに並べていられないかもしれないけど・・・」

「この世の中は 五体満足の人を標準に作られているんだよ・・・
 足1本どころか 指1本無くしただけでも 生きていくのが大変な世の中なんだよ」

「マコさんらしくない ネガティブな考え方ね」
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