あした
そして 言葉を続けた・・・

「思ったより 足の状態 良くないんだ・・・・
           切る前にすでに転移がみられるってさ・・」


そう言うと 俯いた誠の目から堰を切ったように涙が流れはじめた。

そんな誠の頭を美咲を胸に寄せた・・・

美咲の胸で 誠はひとしきり泣いていた・・・・

「おかしいよな・・・おかしいよ・・・だれにでも死はおとづれるものだろ?

 改めて 余命を宣告されただけなのに・・・宣告されると 怖いし、寂しいし

 遣り残してきた事ばかり 後悔ばかりが先立って 悔しいし・・・・

 俺、まだ、24なのに・・・・俺の25歳って歳から向こうはないんだってさ・・・
 
 来年の季節の風景の中に俺は存在できないんだって・・・・・やりたいこと

 まだ沢山あるのにさ・・・・夢は掴む為にあるんだって・・・・

 俺なりに頑張ってきたのに・・・・ばあちゃんはさ、明日は明るい日って書くし

 神様は 平等だから 幸不幸表裏一体とかいっていたけど・・・どこがんなんだよ

 きっと 受け売りで美咲ちゃんに 偉そうなこといったから 試されているんだ。。

 明日 目を醒ましたら 夢だったって・・・・なるんじゃないかって・・・

 そんなことばかり考えてるよ 俺・・・・」

「そんなことないよ・・・・私がいるじゃん。私がいる。私と一緒に生きてよ」


なんて言葉をかけていいのかわからなかった・・・・・

思わず 口をついて出てしまった言葉だった・・・・

はっとした表情で 美咲を見た誠に 美咲が言葉を続けた。

「ま・・・マコの人生 私が幸せにしてあげるから・・・・ね・・・

 だから もう 泣かないで・・・・自分を不幸だって責めないで・・・私が

生きているかぎり 私の心の中の風景には いつも マコがいるよ。いろんな

マコが生きていけるように 沢山 素敵な思い出作って行こうよ。」


「美咲・・・ちゃんの 心の中の風景?」

「うん。お父さんと お母さんの心の中の風景にも・・・・
 
 悲しい姿のマコだけ残すつもり? 」

それだけはしたくないと思った。。。。

そんな風に思ったら なんか 心が洗われて行くようだった・・・・
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