あした

俺も、生きている間は　美咲の事精一杯　愛しもう・・・・

どのくらいの時間が残されているのか・・・・

そう　沢山は残されてはいなさそうだけど・・・・

だけど・・・・

だけど・・・・

美咲に沢山　笑顔を残して行こう・・・・

同じ『輝き』を放つ時間ならば・・・・


涙の輝きではなく

はじけた笑顔の輝きを残して行こう・・・・

自分の気持ちに素直になって　真っ直ぐに・・・・


真っ直ぐに　美咲の気持ちに応えて行こう・・・・


そうは決心してみたものの　病魔は容赦なく　誠の若い肉体を蝕んで行った。

抗がん剤の投与は　激しい嘔吐と頭痛という形で　誠に試練を与えた。

あまりの辛さに　吐しゃ物の入った洗面器を手で払いのける・・・・

美咲の服やズボンに吐しゃ物がかかる・・・

それでも　美咲は　嫌な顔をせず　明るく　誠を励ました。

その励ましが　また　激しい頭痛で　うざく感じる・・・

癌の痛みが　全身を貫く・・・・

すがりようがなく　美咲に当る・・・・

どんなに　つらそうな　誠を見ても　美咲は誠の前では決して涙をみせなかった。

それが　誠には辛く思えた。

「辛いのに・・・・・辛いのに　無理するなよ！！帰ってくれ！！」

ついに　誠が　耐え切れずに　叫んだ。

その時　初めて　美咲が　声を出して泣きながら叫び返した。

「そうだよね・・・・マコ　辛いのに　私が明るくしていたら　マコが辛いよね・・・
　マコが辛そうにしてたら　私も　一緒に　辛そうにしたほうが　マコ　楽？
　マコが楽なら　私も　マコと一緒に　泣いてもいい？私も　その方が　楽よ・・・・・楽なの。」