あした
お願いです・・・

神様 もう少し・・・・もう少しだけ 彼に時間を与えてください・・・

彼に時間を与える事で 私の命がその分 いいえ その倍 短くなってもいいから・・・

せめて 来月に控えた 25歳の誕生日を彼に最後のお誕生日を過ごさせてあげて・・・

トイレのドアをノックする音・・・

ノックを返そうとした 美咲の耳に幸子の声・・・

「美咲ちゃんなんでしょ・・・」

「おばさん・・・」

「そんな所で泣いてないで・・・・出ていらっしゃい。」

【泣いているって・・・・どうして わかるんだろう・・・・】

泣きはらした目をしたまま 美咲がトイレのドアを開けた。

「やっぱりね・・・・」

「えっ?」

「昨日と一昨日はどうしたの? マコが寂しがっていた・・・・」

「あっ・・・・」

顔は出した・・・・出したのだが、誠は薬のせいで眠っていた。




薬で眠らせながらしか 生きながらえることができない

誠の寝顔を見ているのも 正直辛かった・・・・


薬が切れると 苦痛に歪む顔を見るのも・・・・

自分の中で「もう がんばったからいいよね・・・」と
誠の命を諦める自分も許せなかった。


「許せないんでしょ・・・」幸子が美咲の肩を優しく抱きかかえながらいった。
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