あした

ここ 目を醒ますと 痛みに苦しむので薬が切れる間もなく 投与され続けているせいか 目を醒ます事がない・・・・誠・・・

いや・・・薬のせいではなく 既に 昏睡状態なのかもしれない・・・・

幸子も友紀人も ドクターから そう言われていた。

「このまま 意識が戻らないで 逝く可能性もある」・・・と・・・・

「このまま もう 目を醒まさないのかしら・・・」

幸子が 誠を見て 呟いた。

「おばさん・・・マコは お誕生日までには 絶対、目を醒まします。」

「だといいけど・・・・・」

【マコが・・・・私に そう言ったんだもん・・・・約束したんだもん】


そして・・・

誠は 誕生日の前日の夜に 目を醒ました。

丁度 美咲が 幸子に 家の人が心配するから そろそろ帰る様にと

促されている所だった。

「じゃぁ・・・マコ また明日ね・・・・」

いつものように 誠に挨拶をして 背を向けた美咲に誠が声をかけた。

「ああ・・・また 明日・・・・」

「えっ?」

驚いて 振り向いた 美咲と幸子の視線の先に 穏やかな微笑をたたえた誠の顔・・・

「目を醒ましたのね。」

そう言った 幸子の問いかけに答えずに 誠が 美咲に言った。

「海で 約束しただろ?」

「えっ?」

誠の不思議な 言葉に 美咲の表情が驚愕した。

「えっ? や~ね・・・・この子ったら・・・何をわけのわからない事を・・・」

幸子が呟いた。

美咲は目覚めた誠の傍にいたいと思った。



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